こんにちは。株式会社グリーゼの福田多美子です。
グリーゼでは、さまざまな企業からご相談を受けて、次のようなサ
・サステナビリティページのリニューアル・情報設計の見直し
・サステナビリティに関するコンテンツの企画・制作(活動報告・インタビュー記事・コラムなど)
・SDGs/サステナビリティに関する社員研修・ワークショップ
企業のサステナビリティ推進部門の方々とのやりとりを通じて、サステナビリティ推進担当者が直面する課題や業務内容に対する理解が深まりました。
サステナビリティ推進担当の方々の業務は、カバーする範囲が広く、内容も多岐にわたり複雑ですが、今回は、私が把握している主な7つの仕事についてご紹介いたします。
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【サステナビリティ推進担当者の7つの仕事】
1)マテリアリティの特定 |
1)マテリアリティの特定
最初に、企業のミッションやビジョンに沿ったサステナビリティの目標を設定します。目標を定めていくなかで重要なのが、マテリアリティ(重点課題)の特定です。
さまざまな社会課題、環境課題に対して総合的に取り組むのではなく「自社とステークホルダーにとって重要な課題はなにか」を特定し、優先順位を決めていきます。
サステナビリティ戦略の策定にともなって、具体的なアクションプランの立案、必要なリソースと体制の整備、継続的な改善を行うための仕組み作りなども、サステナビリティ推進担当者の仕事です。
サステナビリティ推進担当者にとって、企業のサステナビリティに関する情報開示と情報発信も、重要な仕事です。情報開示・情報発信の方法はさまざまですが、メインとなるのが次の2つです。
Webサイトにサステナビリティページ(コーナー)を設けて、サステナビリティに関するさまざまなコンテンツを作り、情報開示・情報発信をすることが標準化しつつあります。サステナビリティコンテンツは、投資家、顧客、従業員、地域社会、政府などのステークホルダーに対して、柔軟にさまざまな情報を伝えることができます。
統合報告書とは、財務情報(売り上げや利益、資産など)と、非財務情報(企業理念、ESG関連情報、人的資本、CSR、SDGsなどの取り組み)を取りまとめた報告書のことです。近年、大企業を中心に統合報告書を発行する企業が増えています。統合報告書は、企業の価値創造ストーリーを投資家や世間に伝えることによって、企業の評価向上や投資家の投資判断の参考にもなります。
参考までに、Webのサステナビリティページと、統合報告書との違いを以下の表にまとめておきます。違いを理解して、最適な情報開示・情報発信を心がけてください。
|
Webのサステナビリティページ |
統合報告書 |
形式 |
Web(動的) |
PDF/印刷物(静的) |
更新頻度 |
随時、リアルタイム |
年に1度 |
内容 |
サステナビリティに関する情報を広範囲に発信できる |
財務情報と非財務情報を統合して発信する(戦略的視点) |
対象 |
一般を含めた幅広いステークホルダー |
投資家、アナリストが中心 |
掲載情報 |
幅広い情報を、さまざまな深さ、トーンで掲載できる |
企業価値創造に関する情報を中心に、簡潔かつ集約的に掲載 |
弊社は、企業のWeb(サステナビリティページ)のリニューアルに際し、情報再設計などのサポートをしていますが、多くの企業様で共通するのが「サステナビリティページの企画・設計」が不十分だということです。
目的やターゲットに合わせたカテゴライズ(区分・体系化)ができていないために、さまざまな情報が無秩序に詰め込まれ、「気がついたら、サイトがぐちゃぐちゃになってしまった」「どこに何が掲載されているのかわからない」というご相談を受けることが多いです。
Webサイトも統合報告書も、最初の「企画、設計、構成」の部分が最も重要だと思います。
持続可能な社会を築くために、企業は環境・社会・ガバナンス(ESG)への考慮が不可欠であり、その取り組みが要求されています。サステナビリティ推進担当者は、ESGの観点から、企業の取り組みを評価・改善するという役割があります。具体的には、企業の長期戦略や目標に照らし合わせて、ESGリスク管理、指標の選定と追跡、ESG情報の収集と分析などがあります。
例えば、E(環境)では、自社の環境方針を定めます。そのうえで、温室効果ガスの削減目標を立て、具体的な活動を決め実施していきます。S(社会)には人権方針の策定、ダイバーシティや人材教育などが含まれます。G(ガバナンス)には、コンプライアンスや倫理規範などが含まれます。
サステナビリティ推進担当者の仕事として、さまざまな国際基準や認証制度への対応もあります。国際基準に沿った情報開示は、ステークホルダーやサプライチェーンに対する透明性を向上させることができます。また、さまざまな認証を受けることは、企業の信頼性やブランディング、市場競争力の強化にもつながります。
サステナビリティ推進担当者が知っておくべき国際基準としては、以下のようなものがあります。企業や業種によって、または目的に応じて、適した基準を選び対応していくことが大事です。
サステナビリティ推進担当者は、投資家、顧客、従業員、地域社会、政府などのステークホルダーとのコミュニケーションを取っていく役割もあります。
ステークホルダーの期待値や懸念点を把握し、改善することによって、信頼関を高めるだけではなく、製品やサービスの見直しなどにも役立ちます。
コミュニケーションの方法としては、ミーティング、インタビュー、アンケート、ワークショップなど、さまざまな方法があります。対話の目的に応じて、適したコミュニケーションの方法を選択し、対話の実施、ステークホルダーからのフィードバックの確認、企業のサステナビリティ活動の改善に役立てることも大切です。
企業のサステナビリティ推進は、経営陣や特定の部門に限定されるものではなく、組織全体で取り組んでいくべきです。組織全体で継続的に取り組んでいくことによって、大きなインパクトを出し、企業の成長につなげることができるからです。
組織全体でサステナビリティを推進するためには、社員教育や啓蒙活動が不可欠です。社員向けの研修やセミナーを定期的に企画・実施することが大事です。また、社内コミュニケーションツールやイベントを活用して、社員がサステナビリティに対する関心を持ち続けるよう努めます。
企業のサステナビリティ方針を定着させることによって、企業文化の醸成、取り組みの浸透、イノベーションの促進、社員のモチベーションの向上、リスク軽減など、多くの効果が得られます。
環境、社会、経済を中心に、あらゆる情報が、サステナビリティ推進担当者の業務に関連しています。国際基準や国内の法律、他社の取り組みや事例、日々のニュースにも敏感でなくてはなりません。
情報収集の方法としては、以下のようなものがあります。
サステナビリティに関する情報は、業界や地域、企業の規模や事業内容によっても異なります。企業は、自社の状況や目標に応じて、適切な情報を収集することが大切です。
いかがでしたか?
「サステナビリティ推進担当者の7つの仕事」について、概要だけでも理解していただけたでしょうか?
【サステナビリティ推進担当者の7つの仕事】
1)マテリアリティの特定
2)情報開示・情報発信
3)ESG対応
4)国際基準・認証への対応
5)ステークホルダーとの対話
6)社員教育・啓蒙活動
7)情報収集
サステナビリティ推進担当者の仕事は、戦略策定、情報発信、国際基準への対応、ステークホルダーとの関係構築、さらには社員教育までと、カバーする業務範囲が非常にひろく複雑です。
多くの企業では、サステナビリティ推進部門を設置し、複数名のサステナビリティ推進担当者が特定の役割を担い、業務に専念できる体制を整えています。
サステナビリティ推進部門は、企業の社会的価値の向上と同時に、持続可能な社会の構築に向けた重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
グリーゼでは、サステナビリティ推進担当者の方を支援する、さまざまなサービスを行っています。お気軽にご相談ください。
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