グリーゼでは、SDGs社内勉強会の一環として、コンポストに関するオンラインセミナーを行いました。
ローカルフードサイクリング株式会社でエコアンバサダーを務める吉岡マコさんを講師に迎え、循環社会を実現するための取り組みの一つ、家庭から出る生ごみを堆肥化するコンポストについて教えていただきました。
はじめに、私たちの家庭で発生した生ごみが処理される過程を説明していただきました。
生ごみの90%は水分であるため、水を燃やしているような状況が焼却炉に負担をかける上、生ごみの行き先は「家庭→ごみ処理場」という一方通行であることを知りました。
しかし、家庭でコンポストを使用すれば、「生ごみを堆肥化→畑へ→その栄養で実った食物を食べる→再び生ごみを堆肥化する」という「小さな循環」を生み出すことができるのです。
人々が自然や動物の近くで暮らしていた数十年前には、生活の中に循環が成り立っていました。土が植物を育て、水をきれいにし、自然界の栄養が土を介してうまく循環していたためです。
現在の暮らしは土と縁遠くなり、それが難しくなっていますが、家庭のキッチンでのコンポスト活動を通じて、小さな循環を生み出しながら、循環社会への第一歩となる「いい土作り」に貢献することができるのです。
講師の吉岡マコさんの、「私たちはまず、家庭での小さな循環から始まるコミュニティー内の小さな循環を目指している。それを社会全体の循環につなげていきたい」というメッセージがとても印象的でした。
コンポストの基材に生ごみを投入することで、微生物が発生し、生ごみが分解されます。この微生物は生ごみの分解に大きな役割を果たしています。
微生物が活発に働くためには、「水分」「酸素」「栄養」の三要素のバランスが重要です。生ごみの投入後、コンポスト内には温度の上昇や、白カビの発生が見られることがあり、これらは分解が進んでいる証拠なのだそうです。白カビは、私たちが肉眼で見られる唯一の微生物と言われています。
分解の仕組みについて学んだ後はいよいよ、バッグ型コンポストの使い方を説明していただきました。
こちらが、LFC社のバッグ型コンポスト!
中で生ごみの分解が起こっているとは思えないようなおしゃれな見た目に、参加者からは驚きと喜びの声が上がりました。これを使用すると、従来型コンポスト(プラスチック製、バケツ型など)につきものだった、虫とにおいの発生を抑えることができます。
入れてよいもの、NGなものについて教わったところ、多くの食材が堆肥化できることがわかり、実践へのハードルがぐっと下がりました。
コンポストで作った堆肥で野菜を栽培、収穫するうちに講師の吉岡マコさんは、「生ごみは大切な資源。捨てるのはもったいない!堆肥を育てるのが楽しみ」と思うようになったそうです。
生ごみを捨てない暮らしは、循環社会につながるだけでなく、生活の中に新たな喜びや楽しみも与えてくれます。
勉強会では質問コーナーも設けられ、参加者からの具体的な質問に対する回答をいただきました。
一部をご紹介します。
A. バッグ型コンポストの特長であるチャックをきちんと閉めることで、虫の混入を防ぐことができます。
生ごみは基材に混ぜて分解が進むと、腐敗臭は発生しません。堆肥独特のにおいはありますが、生ごみの悪臭からは解放されます。
通気性を保つためには、外に置く方がよいでしょう。
A. 回収会に持っていく、有機農法の農家さんに引き取っていただく、などの活用方法があります。
堆肥は完成後すぐに使用しない場合は保存もできます。堆肥を送り、代わりに野菜をもらえるキャンペーンも時々実施されています。
ローカルフードサイクリング社では、堆肥の回収拠点を拡大中です。
コンポストが想像していたよりもずっと取り入れやすいものであることがわかり、参加者からは「都市部にいながら自然の循環に参加できる」「思っていたよりも手軽に始められそう」「ずぼらな私にもできそう!ぜひ始めてみたい」という前向きな感想が聞かれました。
今回の勉強会で、家庭が社会とつながっていることを実感するとともに、循環社会が成り立っていた過去の日本の姿にSDGs実現のヒントがあることもわかりました。
今後もグリーゼでは、身近なところからSDGsの実践方法を探していきたいと考えています。