コンテンツ制作をアウトソーシングする際、「会社によって価格や納期がまったく違う」と感じたことがある人もいるのではないでしょうか。コンテンツ制作に対する考え方は、制作会社によって異なるので、価格や納期もそれぞれです。「コンテンツ制作って、文章を書くだけでしょう?」と思っている人から見ると、グリーゼは驚くほど手間がかかっているように思えるかもしれません。
「なぜ、手間暇をかける必要があるのか?」
その理由を知るために、今回、グリーゼ新人ライターの藤本がグリーゼ会長の江島に、コンテンツ制作の考え方と制作工程について話を聞きました。前職でSEをしていた江島ならではの視点で、システム開発の工程と比較しながら解説します。システム開発と比較することで、コンテンツ制作に一定の費用や期間が必要な理由が、すんなりと理解できるのではないでしょうか。
コンテンツ制作のアウトソーシングを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
――江島さんはSEだったと伺っていますが、今のコンテンツ制作の仕事と何か共通点はあるのですか?
会長 江島(以下、江島):
私がSEをしていたのは、もうだいぶ前のことですが、大手システム開発会社でシステム開発を担当していました。システム開発とコンテンツ制作は、まったく違う仕事のように見えますが、それぞれの工程を比較すると、実は共通点が多いんです。
例えば、コンテンツ制作では「原稿を書く」こと、システム開発では「プログラムを書く」ということが注目されがちですが、どちらも、その前段階で、しっかりと設計を行う必要があります。また、書いたら終わりではなく、設計通りにできているかをチェックし、必要に応じて改善することが大切という点も同じです。
――そうなのですね。共通点に気づいたきっかけは、何だったのですか?
江島:
グリーゼはECサイト(オンラインショップ)のメールマガジン(以下、メルマガ)の制作からスタートした会社です。メルマガを送る目的はECサイトの売り上げをたてることなので、当時、どんなメルマガを作れば商品が売れるか、試行錯誤していました。
いろいろ試しているうちに、メルマガ1本でも、コンテンツ制作には綿密な設計とPDCAを回しながら改善していくことが必要だとわかりました。このとき、コンテンツ制作とシステム開発の工程が似ていると気づいたんです。
当時はECサイトのメールマーケティングを支援していましたが、成果が出るようになると、少しずつお任せいただける仕事の範囲が広がっていきました。今は主に、BtoB企業のWebマーケティングを支援しています。
メールでもコラムでも、成果を出すためには「メルマガ」や「記事」などを書くだけでなく、その前の工程である戦略や戦術設計が重要です。
――システム開発の工程とはどのようなものか、教えてください。
江島:
システム開発には大きく分けて、「アジャイル型」と「ウォーターフォール型」の2つがあります。アジャイル型は厳密な仕様を決めずに、短期間で設計・検証・テストを繰り返して、開発を進める手法です。アプリ開発などで多く使われています。
それに対して、私が担当していたのはウォーターフォール型で、大規模なシステム開発によく使われる手法です。ウォーターフォール型は設計に基づいて仕様を決め、川の水が上流から下流に流れるように、上流工程から段階を経て開発します。
――上流工程ではどんな設計をするのですか?
江島:
ウォーターフォール型の上流工程の設計には、「要件定義」「基本設計」「詳細設計」のプロセスがあります。「要件定義」とは、そのシステムで何をしたいのか、なぜそのシステムが必要なのかなど、ユーザーの要求を洗い出し、実際に装備する機能や性能などを明確にすることです。開発の方向性や開発コストにも影響を与える、重要な基盤となります。
「基本設計」は「要件定義」を基に、実際にシステムをユーザー側から見たときに、何を実現するか(What)を決めることです。実際の業務フローを確認し、画面のレイアウトや帳票の形式などを設計します。
「詳細設計」とは、「基本設計」の内容をシステム内でどのように実現するか(How)を決めることです。機能ごとの処理方法やデータベースの設定項目など、システム開発者が見てわかるよう詳細を設計します。
これらの設計がすべて終わってから、初めてプログラミングに取りかかります。「プログラムを書く」までに、かなり手間暇がかかるんです。
さらに、プログラムができたら、今度は「詳細設計に合っているか」「基本設計に合っているか」「要件定義に合っているか」を、順番に一つ一つ検証します。問題が見つかれば、修正して、改善します。
――「プログラムを書く」までに多くの人がかかわり、あらかじめ完成イメージを明確にする必要があるのですね。これらを省くとどうなりますか?
江島:
工程を省くと、システムの場合はバグが起こってトラブルの原因になります。そうなると、改修がとても大変なので、この段階で一つ一つしっかり工程をこなす必要があります。
――ここからは、実際にグリーゼが行っているコンテンツ制作について聞いていきます。
――コンテンツ制作では、「原稿を書く」前にどのような工程がありますか?
江島:
コンテンツ制作をするとき、グリーゼではまず、「現状分析」や「KGIの設定」、「競合分析」「ペルソナ設計」「カスタマージャーニーマップ」「シナリオ設計」といった、上流の設計を行います。これは、システム開発の「要件定義」「基本設計」にあたる部分です。
コンテンツ制作と聞くと、「文字を書くだけでしょう?」「作文と一緒では?」と思われる方もいるかもしれませんが、グリーゼが制作するコンテンツは、お客様のマーケティングの一環として納品するものです。ただ、文章を書くだけではなく、そのコンテンツがどのような目的を持ち、どのような成果を出すことが必要なのかを、しっかりと設計するプロセスを踏んでいます。
設計をするには、お客様の課題を洗い出す必要があるので、マーケティングご担当者様だけでなく、セールスご担当者様など、現場の方も交えてワークショップ形式のミーティングを行います。このコンサルティング(戦略策定)のフェーズだけで、最低でも2か月くらいかかります。
――コンサルティングフェーズだけで2か月以上もかかるのですね。その次には、どんな工程があるのですか?
江島:
「現状分析」や「KGIの設定」、「競合分析」、「ペルソナ設計」「カスタマージャーニーマップ」などの上流設計を行ったら、「カスタマージャーニーマップ」上に必要なコンテンツを設定し、コンテンツ企画シートを作成します。必要なコンテンツがいくつもある場合は、それら一つ一つに対してコンテンツ企画シートを準備します。
コンテンツ企画シートはシステム設計の「詳細設計」にあたるものです。どのように目的を実現するか(How)がわかるよう、コンテンツを読む前のペルソナ(読者)のインサイト(ビフォ―)と読んだあとのインサイト(アフター)を明確にし、心理変容を起こさせるために、何をどんな順番で書けばよいかを考え、「構成案」の形にまとめます。
――成功イメージをまとめてから、コンテンツを作成するのですね。完成してからの工程も教えてください。
江島:
コンテンツを作成したら、システム開発で設計や定義に合っているか順番に検証するのと同様に、コンテンツ企画シートの意図と合っているか、突き合わせます。「カスタマージャーニーマップの中で期待された成果を出しているか」「ペルソナに合致しているか」「KGIに向かっているか」など、一つ一つチェックしていきます。
こうして作られて公開されたコンテンツが、しっかりとお客様のために働くコンテンツになっているか、求められた成果を出せるかを確認し、何か問題があれば改善します。しっかり働くコンテンツを作らないと、お客様にとっても時間と費用の無駄遣いになってしまいますからね。
システム開発のプログラムやWeb記事などのコンテンツは、どちらも考え抜かれた工程のほんの一部分です。両者に共通していえるのは、制作するまでにしっかり設計する必要があること、制作後のチェックや改善を行うことが大切ということですね。
――システム開発とコンテンツ制作では、工程以外にも共通点がありますか?
江島:
工程以外にも、コミュニケーションが大事という点が似ています。
コンテンツ制作において、本当にお客様の課題を理解し解決するためには、コミュニケーションを取ることが大切です。そのためにグリーゼでは、積極的にお客様と「定例会」を持つようにしています。
定例会があることで、設計に関する齟齬をなくしたり、お客様が言語化できていないマーケティング課題に気づいたりすることもあるので、お互いにメリットが多いです。制作後には、コンテンツがしっかり働いているかをチェックできるので、予想していた成果が出なければ改善するなどの対策もできます。
コミュニケーションを取ることで、お客様の事業に関する理解が深まり、課題感があればアドバイスを差し上げることもできます。そこから信頼関係が生まれ、継続的なお付き合いにつながっていくことが多いですね。
――そうなんですね。
江島:
コミュニケーションの大切さは、システム開発に関しても同じです。SEはプログラマー出身者が多いので、黙々と端末に向かって作業するのが好きな一方、コミュニケーションが苦手な人も多いんです。
システム開発の打合せでは、お客様は「業務の言葉」を使い、SEは「システム開発の言葉」で話しがちなので、お互いわかったようで、実は意思の疎通が図れていないことがあります。お客様の意図や課題が十分理解できないまま開発を進めてしまうと、完成したあとに、「こういうはずじゃなかった」とトラブルになることもあるんです。
システム開発もコンテンツ制作も、しっかりとコミュニケーションを取り、「どうなったら成功なのか」をお互いに把握すると、手戻りが少なくなるといえます。
コンテンツ制作は、ただ文章を書くだけではなく、そのコンテンツがどのような目的を持ち、どのような成果を求められているか、しっかりと「設計」するプロセスが必要です。納品後も、コンテンツが目的を果たし、成果を出しているかをチェックし、必要があれば改善や提案を行います。すべては成果を出すために必要なことで、グリーゼはこれらの手間を惜しみません。
"原稿を外注する業者さん"ではなく、"Webマーケティングに課せられた目標達成を共に目指すパートナー"を探しているなら、ぜひグリーゼへお問い合わせください。