「新しい働き方として注目されているワーケーションを実体験して、そのメリット/デメリットを考察してきましょう」という目的で実施されることになった「グリーゼ ワーケーション実験」。
2番バッターである代表取締役の江島は、ワーケーションという言葉がなかったころから、
◎出張と遊びの旅行と仕事を絡めたり
◎弊社沖縄事務所に1カ月近く引きこもって仕事をしたり
◎グルーズ船で旅をしながら仕事をしたり・・・
など、様々な働き方を既に経験済みです。
そこで、今回は、「ワーケーションとSDGsの関係について考える」ことをテーマにしてみました!
~目次~
1. そもそも、ワーケーションとSDGsって何の関係があるの?
2. 梅農家さんの商品開発で意見出し。もしかして私たち、ちょっと役に立ってるかも?
3. 野草を摘んで、酵素ジュースづくり。なにこれ、めっちゃ楽しいんですけど!
4. ワーケーションだけでは終わらなかった!その後のZoom会議で話したこと
5:結論:ワーケーションはSDGsの推進につながるのか?
「ワーケーション(※1)は、SDGs(※2)の達成にも役立つ。だから、ワーケーションを推進しよう!」みたいな話を、最近よく聞きます。
そのココロは、都市部の人々が地方でワーケーションをすることが、地域活性化に役立つから・・・らしいのですが、本当にそうなのでしょうか?
たしかに、「SDGs推進本部」が令和元年12月に発行した「SDGsアクションプラン2020」にも記載されているとおり、地域が活性化することがSDGsの推進につながることは、理解できます。
でも、ワーケーションをすることが、地域活性化につながるというのは、いまひとつピンと来ません。
少なくとも私は、ワーケーションをしながら、地域に関わったことは一度もありませんでした。
※1 ワーケーション:「work(働く)」と「vacation(休暇)」を合わせた造語
※2 SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)
【いままで経験したワーケーションとは、旅行をしながら仕事をすることであり、地域活性化とは全く関係ないものでした】
「ワーケーションは、本当に地域活性化に役立ち、その結果SDGsの達成に貢献できるのだろうか?」・・・そんな疑問を解決するために、今回は和歌山で無農薬の梅農園を営んでいる「てらがき農園」さんにお邪魔させていただきました。
友人2人と一緒に「てらがき農園」さんに到着すると、出汁のたっぷり張られた大きな土鍋が、私たちを待っていました。
通販の新商品である「紀州鴨(紀州材100%のおが粉の敷料の上で育った鴨)」を使った鴨鍋について、意見を聞きたいとのことです。
【まずは、無農薬の梅で作った練り梅を、出汁に投入します!】
鴨鍋については、「文句なしに美味しい」とあっさり意見がまとまったのですが、〆の段になって、みんなが首をかしげました。
メインの素材が鴨ということから、〆を鴨南蛮風に、お蕎麦にする予定だそうなのですが
・ゆで麺を冷凍して解凍して鍋に投入するバージョン
・ゆで麺を冷凍してそのまま鍋に投入するバージョン
・鍋の汁に、麺つゆを足して、鴨南蛮に近づけてみるバージョン
等いろいろ味見してみたものの、出汁に梅を入れているせいか「なんとなく合わない」という意見が多数・・・。
結局、「蕎麦ではなく、鍋の残り汁に和歌山県の特産品のひとつである金山寺味噌を足して味噌汁風に。そして、さらに、白ご飯・卵を足しておじや風にする方がよいのではないか?」というところに落ち着きました。
参加メンバーそれぞれが、参考になる鍋のお取り寄せサイトなども紹介。
このように、地方での商品開発の際に、主要消費地である都市部の住人の意見を取り入れることができるのは、ワーケーションの大きなメリットではないかと思いました。
【その後発売された和歌山応援梅鍋セット(鴨)は、私たちの意見を取り入れていただき、〆用として金山寺味噌か蕎麦玉かのどちらかを選択できるようになりました!】
次に、「てらがき農園」さんが「農園観光」のメニューのひとつとして検討されている「酵素ジュースづくり体験」に挑戦してみることに。
「てらがき農園」さんでは、当初「山に入るのは大変だろうから」ということで、果物と梅だけの酵素ジュースづくりを想定していたそうですが、
私たちの「えーーーっ!!野草摘み、やってみたい!!」という熱烈なリクエストに応えていただいて、酵素ジュースの材料を集めるために、トラックに乗って梅の山に向かいました。
【トラックから見た山の風景。がたがた揺れるのも、道脇の木の枝が車にぶつかりそうになるのも面白い♪】
無農薬で作っている梅の山の雑草なら、セイタカアワダチソウの花以外はどれを摘んでもOKとのこと。
山のてっぺんで、あれこれおしゃべりしながら、様々な野草を摘むのは、とても新鮮でワクワクする経験でした。
このように、都心部に住んでいる私たちが、何を「田舎の価値」だと感じるかを地元の方々に伝えることができることも、ワーケーションの意義の一つだと思いました。
野草摘みの後は、同じく無農薬で作っている野菜畑で、大根の間引き。大根の葉も、酵素ジュースづくりに使用するそうです。
【大根の間引きも、初めての経験!】
農園に戻ってきて、みんなで果物と野菜を刻み、もちろん「てらがき農園」さんの無農薬の梅も入れて、同量のてんさい糖を足します。これを3カ月~6カ月発酵させると飲み頃になるそうです。
【自分の手で刻むことで、常在菌(※3)が入り、自分だけの酵素ジュースになるそうです】
※3 常在菌(じょうざいきん):それぞれの人がもともと持っている、身体を守るための微生物
【刻み終わった野草と果物。このあと同量のてんさい糖と、無農薬の梅を足して、自分の指でかきまぜます】
四季を通じて、季節の野草や果物を使ったジュースづくりを楽しむことができるのは、田舎ならではの楽しみですね。
酵素ジュースづくり体験についても、参加者から、
・現場でどんなガイドをすればいいのか
・どんな説明書があればわかりやすいのか
・持ち帰った後どのようなフォローをしてほしいのか
などについて、様々なアイデアが飛び交いました。
【日付を書き入れて完成!3カ月~6カ月には、どんな味になるのかな?いまからとっても楽しみです♪】
この話には、続きがあります。
なんとワーケーション終了後、参加者全員で「酵素ジュースづくり体験のパンフレットについて検討するZoom会議」を実施することになったのです!
「体験したからこそ、"こんな内容がパンフレットに書いてあったら嬉しい"がわかる!」ということで、ワーケーションの約10日後に実施。
【題して「てらがき農園 酵素ジュースMTG」!】
私たちは3人で一緒に酵素ジュースを作ったのですが、同じ材料を使ったにもかかわらず、その後の発酵度合は、三者三様。
特に、私が作ったものは、なぜか翌日から激しい発酵が始まり、移動中にバクハツ?して車をベタベタにしてしまうという珍事件が起こったため、
・持ち帰っている途中にバクハツするリスクをなくすには、どうすればいいか?
・自分の酵素ジュースが、いまこの状態で正解なのか不安。どんなふうに変化していくのかが写真や動画で見られると嬉しい
・どんなふうに面倒を見ればいいのか? もし面倒を見るのを忘れてしまったら、どうすればいいのか?を知りたい
など、持ち帰った後の扱いについて、質問や意見が集中しました。
【私の元気がよすぎる?酵素ジュースは、瓶に入れて「てらがき農園」さんで面倒を見ていただくことになりました・・・】
このように、商品やサービスの開発途中から消費者を巻き込み、「自分ごと」化し、ファンづくりをしていけるのも、ワーケーションの大きなメリットだと思いました。
ワーケーション = 地域活性化 = SDGs という論調に疑問を感じての、今回のワーケーション体験。
「やってみた」結論は、どうだったかというと・・・
やはり、アタリマエのことですが、ワーケーション = 地域活性化 ではなく、ワーケーションした先で地域の方と「しっかり」関わることが重要なんだな、ということがわかりました。
この「しっかり」という点がポイントで、「遊び半分」あるいは「お客様気分」では、あまり意味がないのでは?と思います。
私たちは、たまたま「てらがき農園」さんが友人だったので、本気で忌憚のない意見を言い合い、ワーケーションから戻ってきた後も、その先の商品・サービス開発の行方を気に掛けていますが、
これがもし、「地元の人と一緒に、SDGsのボードゲームをやっただけ」とか「地元の人に、観光に連れていってもらっただけ」とか「地元の方と一緒に、新商品開発について1~2時間会議をしただけ」であれば、「ちょっと地域活性化に関わってみた」という自己満足だけで終わったかもしれません。
ワーケーションを本当に地域活性化につなげたいのであれば、行く側と迎える側が本気で向き合えるような仕組みを作ることが、非常に重要だと思います。
もしそれができたなら、たしかに、ワーケーションは、「地域経済の活性化」にもつながるし、人口が少なく、高齢化が進んでいて、なかなか新しい価値観や考え方に触れる機会のない地方の方々の「意識の活性化」にもつながるのではないかと思いました。
【おまけ:後日和歌山応援梅鍋セット(鴨)を注文したところ、アノ間引き大根が、お漬物になって同梱されていました!とっても嬉しいサプライズでした♪】
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