
近年、導入する企業が増加してきた「テレワーク」。テレワークにより、「通勤がなくなり時間をより効率的に使えるようになった」「離職率が下がった」「採用・人材確保の幅が広がった」「固定費が少なくて済んだ」など、スタッフにも企業にも多くのメリットをもたらします。
しかしその反面、「スタッフのほとんどがテレワーク」という体制にした場合は、「全社的な知見が積み重なっていかない」というデメリットも発生します。
会社で毎日顔を合わせて仕事をしていれば、「◎◎プロジェクトが△△という手法で成果を挙げたらしい」「〇〇プロジェクトが××でトラブっているらしい」といった成功事例や失敗事例は自然と共有されるものですが、テレワークの場合はそうではありません。
こうした情報が共有されない結果、「Aプロジェクトの成功事例をBプロジェクトに導入していたらもっとうまくいったはずなのに...」「Cプロジェクトで起きた失敗をDプロジェクトでも起こしてしまった...」といった状況が起こるのです。
そこで本記事では、テレワーク歴20年の株式会社グリーゼ が自社の経験に基づき、「テレワークで全社的な知見を積み上げていくための3つの方法」をご紹介します。
定期的にプロジェクト報告会議を開き、成功事例や失敗事例を共有します。
弊社では、各プロジェクトリーダーによる報告会議を月に1回ネットミーティングで実施しています。
特に工夫している点は下記の2点です。
●報告書を簡易なフォーマットにする
●参加者全員に何かしらの報告(発言)を義務づける
会議前に提出する報告書には、簡易なフォーマットをあらかじめ用意しておきます。こうすることで、各メンバーに報告書作成にかかる負荷を減らすことができます。
また会議では、参加者全員に何かしらの報告(発言)を義務づけるのも重要だと考えます。本人が「報告するほどでもないな」と思っていた情報も上がってきやすくなるからです。他の出席者にとってはこうした情報の中に、自分のプロジェクトに生かせるヒントがあるかもしれません。
定例会議での情報交換が生み出す効果は、知見が積み上がることだけではありません。参加者同士が互いの成長を感じて刺激を与え合うようになり、プロジェクトがより活性化していきます。
ミスが発生した場合には「ミス報告書」を作成し、プロジェクト報告会議で共有します。目的はあくまでミスの再発防止。「誰もがミスを起こしうる」という大前提のもと、以下の2点に注意するようにしています。
●当事者を責めない
●ミスを起こさない工夫を全員で共有する
例えば、「FAXの誤送信」を「ミス報告書」で共有したことがきっかけで、「FAXで個人情報のやりとりをしない」という社内ルールができた・・・ということがありました。
「次からは気をつけます」という精神論ではなく、「次からは起こりえないような仕組みを作る」ために、「ミス報告書」を活用しています。
2週に1回「SEOニュース」や「SNSニュース」というメールマガジンを配信しています。
現在は一般公開しているメールマガジンですが、もともとは社内向けに始めたものです。
工夫した点は以下の2点です。
●情報収集と編集は得意な人に担当してもらう
●読みやすいボリュームで配信する
担当者には、「情報収集が得意」「対象分野に詳しい」という条件に当てはまる人物を選ぶのがよいでしょう。例えば「SEOニュース」の場合、担当者はSEOコンサルタントの資格を持ったスタッフです。分野に通じていないとか、情報収集が得意でない人を担当にした場合、本人に大きな負担がかかったり、誤情報や信憑性が曖昧な情報が配信されたりする可能性があります。
メールを適切なボリュームで配信することもとても大事です。あまりにも情報量が多いと最後まで読んでもらえません。せっかく価値のある情報を配信しても、メンバーに読んでもらえなければ意味がありません。
新情報をメールマガジンという形で共有することには、知見の積み上げのほか、時間の効率化という点でも大きなメリットがあります。メンバーそれぞれが情報収集する必要がなくなることで、「人数×情報収集に費やす時間」が節約できるのです。この浮いた時間は、情報収集以外のことに有効活用できます。
いかがでしたか。
テレワークにはメリットだけでなく、デメリットもあります。問題の解決策として、本記事では下記の3点を紹介しました。
●【方法1】定例会議で情報を共有する
●【方法2】「ミス報告書」で失敗を共有する
●【方法3】メルマガで新情報を共有する
テレワークの導入には冒頭で紹介したスタッフや企業へのメリット以外にも、「災害時に事業を止める必要がない」といった、社会的なメリットもあります。
企業としては、テレワークの導入に積極的に取り組むべき時期がやってきたといえるでしょう。しかし、メリットだけに注目して安易にテレワークの導入に飛び付くのではなく、デメリットもついても十分理解しておきたいものです。