
BtoB企業でマーケティングに携わっている方の中には、「調査レポート」をまだ活用したことがないという方もいらっしゃるかもしれません。「調査レポート」とは、特定のテーマについてアンケートを実施し、その結果を集計・分析してまとめたレポートのことです。
▼「調査レポート」の具体例はこちら
https://gliese.co.jp/success/report/
「調査レポート」は、Web上でのリード獲得を目的として使用されることが多いですが、実はSEOの観点からも非常に有用なコンテンツです。
SEO専門家として知られる住太陽氏も、SEO的観点から見た「調査レポート」のメリットについて、下記のように述べています。(2025年5月 グリーゼからのメール取材に対する回答として)
『調査レポートのSEO効果を最大にしたい場合、設計の段階から多くの人の興味を引くものになるように設計し、レポートそのものに検索で探しやすいタイトルをつけ、誰でも閲覧できリンクできる形で公開するのがおすすめです。企業やブランドに対する言及を増やし、被リンクを獲得する効果が期待できますし、何よりも独自のコンテンツはSEOにおいて極めて有力です。』
本コラムでは、「調査レポート」がSEOに効く理由を詳しく解説します。さらに、SEO以外のメリットや、実際に制作する際のポイントについてもご紹介します。
1:「調査レポート」がSEOに効く4つの理由
1-1. 信頼性の高い情報を発信できるから
1-2. 被リンク(バックリンク)を獲得しやすいから
1-3. 指名検索やブランド検索を促進する可能性があるから
1-4. プレスリリース配信による拡散と被リンク獲得が期待できるから
2:他にもこんなに!「SEO」以外の「調査レポート」の活用メリット
2-1. 認知フェーズでの活用メリット
2-2. 興味・関心フェーズでの活用メリット
2-3. 比較・検討フェーズでの活用メリット
2-4. 購入・導入フェーズでの活用メリット
2-5. 継続・推奨フェーズでの活用メリット
2-6. その他(内部利用として)の活用メリット
3:「調査レポート」制作の3つのポイント
3-1. テーマ選定と設問設計のポイント
3-2. 調査対象者と調査方法の選定ポイント
3-3. 分析とストーリー設計のポイント
おわりに
「調査レポート」をWebサイト上に公開することによって、SEO的なメリットが期待できます。その理由は、以下の4つです。
Googleは、E-E-A-T(Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼性))という評価基準を用いて、Webページを評価しています。
中でも「Trust (信頼性)」のある情報は、Googleの評価が高く、検索順位に好影響を与えると言われています。「調査レポート」は、独自のデータと分析に基づいて作成されるため、信頼性が高いという評価を得やすいのです。
根拠が明確なデータが記載された「調査レポート」は、他のサイトや記事から引用されやすく、自然な被リンクを獲得することができます。また、自社で調査を実施することでその分野の一次情報を持つことができ、他社との差別化にも効果的です。
調査元として自社名を記載することで、見込み顧客に企業名やブランド名を印象づけることができ、将来的な指名検索につながる可能性があります。
指名検索されると、検索エンジンから、「この企業は業界において、ユーザーから一定の評判を得ている」と認識され、E-E-A-Tが高いサイトであると評価される可能性が高くなります。
「調査レポート」を作成した後、多くの企業がプレスリリースを通じてその内容を発信します。プレスリリースは、ニュースサイトや業界系メディアに転載されることがあり、自然な形で高品質な被リンクを獲得できるチャンスとなります。
実は、「SEOによる流入促進」は、「調査レポート」の活用メリットのごく一部。「調査レポート」の活用メリットは、他にもたくさんあります。
マーケティングファネル別にご紹介します。
・ プレスリリースによるメディアへの露出・認知拡大が期待できる
・ 自社Webサイトやオウンドメディアでの情報発信ができる
・ SNSや広告、メールマガジンなどから調査レポートへの導線を作ることでターゲット接点を創出できる
・ ダウンロード資料として活用することにより、リード獲得が期待できる
・ メルマガやSNSでシェアすることにより、顧客育成に活用できる
・ 展示会やセミナーでの配布資料として活用できる
・ 提案書やプレゼン資料の一部として活用ができる
・ 競合優位性を示すエビデンスとしての利用ができる
・ ダウンロード資料として活用することにより、個別相談や問い合わせに誘導することができる
・ 導入判断を後押しする意思決定者向け資料として活用できる
・ 商談相手にお渡しし、予算を獲得するための上申資料用にカスタマイズ活用していただける
・ 既存顧客へのアップセルの根拠として活用できる
・ 顧客の声・活用事例の補足資料としての活用ができる
・ パートナーや取引先への情報共有・提案資料として活用することで信頼構築が期待できる
・社員教育や戦略立案など、内部資料として活用できる
テーマは、以下の3つの視点から選定します。アンケートの設問についても、それぞれの視点から設計していくことが重要です。
見込み客が抱えている疑問や課題を起点にテーマ設定を行いましょう。見込み客が検索に使うワードをもとに仮説を立てて設計することでSEO効果も期待できます。
例えば、下記の「調査レポート」の場合、
▼BtoBメール閲覧実態の把握2020
https://gliese.co.jp/success/report/btob2020.html
「見込み顧客(BtoB企業のメールマーケティング担当者)は、BtoB企業が配信するメールマガジンの適切な長さや配信頻度・スマートフォン対応の要・不要などについて知りたがっているのではないか?」という仮説に基づいて、テーマの選定・設問設計を行っています。
一方で、見込み顧客の「知りたいこと」に答えるだけで終わるのではなく、自社サービスのお問い合わせにつながるように、あらかじめ設計しておくことも重要です。
例えば、下記の「調査レポート」の場合、
▼BtoB製品購入プロセスにおける Webマーケティングの重要性(2023年版)
https://gliese.co.jp/success/report/btob-web2023.html
「BtoB企業にWebマーケティングは不要」と考えているような方に読んでいただいて、Webマーケティングの重要性に気づき、「まずは専門家に相談してみよう」と思っていただけるようなテーマの選定・設問設計を行っています。
「調査レポート」は、客観性が高いという点でメディアととても相性がいいため、「調査レポート」を公開する際には、プレスリリースを発行するのがセオリーです。
ただし、メディアが取り上げるプレスリリースには、以下の要素も必要だと言われています。
① 新規性/革新性
② 独自性/意外性
③ 社会性/時代性
特に認知拡大を狙う場合には、メディアに取り上げられやすいように、上記①②②のいずれかに合致するようなテーマや設問を設計することが重要です。
例えば、下記は、弊社が2015年7月に初めて「調査レポート」を制作したときのプレスリリースです。
▼マーケティングオートメーション導入済みは1割弱、コンテンツマーケティングにも意欲 第1回「BtoB企業マーケティング実態調査」
https://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1507/02/news139.html
当時としてはかなり新しいテーマであったことから、配信してすぐに「ITmedia」に掲載され、多くの企業の方にダウンロードしていただき、有効なリードを獲得することができました。
テーマが決まると、おのずと調査対象者の属性(業態・業種・職種・企業規模・役職など)が決まってきます。
調査対象者の属性が決まったら、最適な調査対象者や調査方法を選定します。
調査対象者は、以下の2つのリストのいずれかから抽出します。
(1) 自社の顧客リスト
(2) アンケートサービス会社等が持っている、外部のリスト
また、調査には、以下の3つのやり方があります。
(A) 対面調査
(B) 郵送による調査
(C) Webアンケートシステムによる調査
最近は、安価でスピーディに実施できるという理由から、「外部のリストを使った、Webアンケートシステムによる調査」が主流になってきています。
アンケート調査実施後、結果の数字から「何を読み解き」「どんなトピックス・結論を導き出すのか?」が、「調査レポート」のキモになります。
結果が、当初の仮説と合っているかどうかを確認し、合っていなかった場合には、当初予定していたレポートのストーリーを見直す必要があります。
また、結果として、見込み顧客から見て「面白い」「目新しい」と感じるような結果があまり得られなかった場合には、回答と回答を掛け合わせる「クロス集計」などを行って、見込み顧客の興味をかき立てるようなデータを見つけ出すという工夫も必要でしょう。
調査から見える傾向や課題、今後の展望などを読み解き、見込み顧客が「なるほど」と思えるストーリー構成にすることが、SEO的にもユーザー体験的にも重要です。
以上、本章では制作のポイントについて簡単にご紹介しましたが、下記のコラムでは、さらに詳しく制作の手順について解説しています。プレスリリースの配信方法などについてもご紹介していますので、ぜひ併せてお読みください。
▼リード獲得の大本命!「調査レポート」について徹底解説【前編】
https://gliese.co.jp/success/article/column_200918_01.html
▼リード獲得の大本命!「調査レポート」について徹底解説【中編】
https://gliese.co.jp/success/article/column_200918_02.html
▼リード獲得の大本命!「調査レポート」について徹底解説【後編】
https://gliese.co.jp/success/article/column_200918_03.html
「調査レポート」は、信頼性が高く、独自性のあるコンテンツとして、検索エンジンからも評価されやすいコンテンツです。
本コラムの公開に合わせて、「調査レポートの活用に関する実態調査」を行い、レポートにまとめました。(2025年5月に公開)ぜひ、こちらも併せてご覧ください。
【参考情報】
ボーディSEO E-E-A-Tとはサイトや著者の経験、専門性、権威性、信頼の評価
https://www.bodhi.co.jp/e-e-a-t
ボーディSEO 指名検索はSEO効果の高い「暗示的なリンク」として機能する
https://www.bodhi.co.jp/branded-search-seo