2019年10月2日、株式会社内田洋行様の社内研修として開催された「コンテンツライティング講座」で、弊社代表の江島が登壇。読者の心をつかむメールライティングのテクニックなど、BtoBのメールマガジン・Webコンテンツ制作のポイントをお伝えしました。
本レポートでは、受講者の方々から特にご好評をいただいた「メールの精読率を高めるテクニック」の内容をご紹介します。
セミナー概要
□セミナータイトル:コンテンツライティング講座(書き方編、構成編、メール編)
□開催日:2019年10月2日(水) 9:30~16:30(休憩1時間)
□講 師:株式会社グリーゼ 代表取締役 江島民子
□会 場:株式会社内田洋行 東京・東陽町オフィス(東京都江東区東陽2-3-25 住生興和東陽町ビル)
本セミナーは、「MA導入企業のためのコンテンツマーケティング担当者育成パック」のカリキュラム(合計18時間分)から、業務にとりわけ直結するテーマを抜き出し、計6時間にカスタマイズしたものです。実践力を養うワークショップをおりまぜながら、研修を行いました。
読者がメールを最後まで読んだことを示す指標を、精読率(通読率)といいます。
精読率は、「精読(通読)数÷メールの開封数」で算出できます。
精読率の高いメールは、情報を適切に伝達できるのはもちろんのこと、読者のマインドシェアの拡大にも効果をもたらします。
マインドシェアとは、読者のマインド(心)に占める企業ブランドや商品ブランドのシェア(占有率)のことです。マインドシェアが高いほど、読者が商品やサービスが必要になった時、真っ先に思い出してもらいやすくなります。
つまり、精読率の高いメールは、長い目で見るとファンの獲得に寄与し、企業の売上アップにも貢献するということです。
それでは、最後まで読まれるメールと読まれないメールには、どのような違いがあるのでしょうか?
本セミナーで、「途中で読むのをやめたくなるメールは、どのようなものか」と受講者に質問したところ、次のようなご回答をいただきました。
①件名と内容にギャップがあるメール
②改行位置がバラバラで読みにくいメール
③文字量がとにかく多いメール
どの回答にも"その通り"とうなずいた江島は、「導入」「見せ方」「メール全体の長さ」の切り口から精読率を高めるテクニックをお伝えしました。その一部を紹介します。
件名と導入文をマッチさせる
「①件名と内容にギャップがあるメール」を防ぐ方法は、件名とマッチした内容を導入文にしっかりと書くことです。
次の2つのメールを読んで、違和感を覚えるのはどちらでしょうか?
・メール1
【件名】そのシュレッダーで、本当に個人情報が守れますか?
【導入文】
こんにちは!きょうは、いよいよ来週開催の展示会のご案内をいたします。
弊社では、最新のコピー機のデモンストレーションをさせていただく予定です!
・メール2
【件名】
そのシュレッダーで、本当に個人情報が守れますか?
【導入文】
こんにちは!きょうは、個人情報管理の切り札と言われている弊社のシュレッダーをご紹介します!
メール1は、件名と導入文が明らかに一致していません。
読者は、件名に書かれたフレーズによって興味や知的好奇心を刺激され、メールを開封します。ところが、興味を持った内容がメールの導入文(冒頭)に書かれていなければ、途端に読むのをやめてしまう傾向があります。
勝負は最初の3行です。ここで読者の興味とメールの内容をマッチさせることが、精読率アップには欠かせません。
読者を自分ごとにさせる「問いかけ」を駆使する
導入文でさらに意識したいのが、読者を「自分ごと」にさせることです。
導入文に、読者が抱える悩みやニーズに関する情報が書かれていれば、その読者は心をつかまれ、一気に読み進めるでしょう。自分ごとにさせられれば、勝負ありです。
読者を自分ごとにさせる方法はさまざまあります。なかでも、「問いかけ」は代表的なテクニックです。
次の2つの導入文を読み比べてください。
・導入文1
いつもお世話になっております。
本日は、個人情報管理の切り札と言われている弊社の最新シュレッダーを紹介します。
最近、個人情報漏えいのニュースをよく聞くようになりましたが...
・導入文2
いつもお世話になっております。
最近、個人情報漏えいニュースをよく聞くようになりましたね。
特に、マイナンバー書類の管理がずさんだったことが原因で、漏えいが起こってしまう事件が相次いでいるようです。
〇〇様の会社は大丈夫でしょうか?
本日は、個人情報管理の切り札と言われている弊社の最新シュレッダーを紹介します。
どちらが効果を生む導入文であるかは、一目瞭然です。
読者の心をつかむには、「問いかけ」などのテクニックを使って、導入文にひねりを加えることが欠かせません。
「②改行位置がバラバラで読みにくい」のも、読者の読む気持ちを削いでしまいます。また、文字がぎっしり並んでいたり、不要な罫線やマークが多用されたりしているメールも要注意です。
せっかく時間をかけて文章を書いても、見た目が良くなければ読者はすぐに離脱します。見せ方に工夫を凝らすことは、精読率アップには不可欠な作業です。
見せ方の工夫①
「空白行多め」「句読点多め」「ひらがな多め」を意識し、読者にテキストストレスを与えないことが大切です。
見せ方の工夫②
黒塗り文字や罫線は、使い方を誤ると逆効果を生むので、注意が必要です。
「③文字量がとにかく多いメール」も、読者が途中で読むのをやめてしまう要因のひとつです。
下のイラストが示すように、読者がメールを読み通すまでに、離脱するタイミングが数回訪れます。そのひとつが「長すぎる」と感じる瞬間です。実際に、長いメールは読まれにくい傾向があります。
昔は、長文のメールに情報をいくつも載せるスタイルが主流でした。しかし、スマートフォンでメールを読むことが増えた現代では、そのスタイルのメールは読まれなくなりました。
そこで、たくさんの情報を詰め込んでいた従来のメールを分割して、1テーマごとに1通のメールを配信することが多くなってきました。
「配信頻度を上げると読者に嫌がられて、メールマガジンの購読を解除されてしまうのではないか」
そのようなご意見をよくいただきますが、5~10通に1通程度、読者が関心を持っていたり、自分ごとに思えたりするメールを届けることができれば、解除されることはほとんどありません。
解除される理由はメールの配信頻度ではなく、内容や長さなどの"質"なのです。
※本セミナーではこの他にも「精読率を高める構成の作り方」や「精読率の計測方法」などを解説しましたが、このレポートでは紹介を割愛します。
受講者の方々はメモ帳にペンを走らせ、時折大きくうなずくなど、とても熱心に聞き入っていました。そのような受講者の方々から寄せられたご意見、ご感想を紹介します。
▼【企画部 女性】
今回のセミナーでは、最初の3行で読者の悩みに踏み込むことの大切さを実感しました。
また、読者に伝わりやすい構成の作り方もわかったので、あとは練習あるのみだと思います。
引き出しをどんどん増やして、今後の業務に生かしたいです。
▼【企画部 女性】
これまでになかった視点を教えていただき、目から鱗が落ちました。
自分のライティングのクセや苦手なポイントも知ることができましたし、接続助詞の使い方の解説もたいへん勉強になりました。
すぐに実践に取り入れられる内容ばかりで、受講できて本当によかったです。ありがとうございました!
▼【企画部 男性】
読者の興味や関心をかき立てるタイトルがなかなか書けず、課題を感じていましたが、セミナーを通じてキャッチーなタイトルを書くためのたくさんのヒントをいただきました。
自分のライティング業務を見直す面でも、とてもためになりました。
▼【企画部 男性】
私は「書く」ことよりも、原稿を「読んでチェックする」ことが多く、他の社員が書いた原稿をどのように指摘すればいいのか、といつも模索していました。
セミナーでは、ライティングテクニックだけでなく、付随する部分まで解説してくれたので驚きました。教わった方法を早速取り入れたいと思います。
内容がとても豊富で、どのテーマもわかりやすく、楽しく受講できました。
▼【企画部 男性】
本日(セミナー当日)はメールマガジンの入稿日なので、すぐにタイトルと導入文を変更します。
今回のセミナーでは、「メールの精読率を高めるテクニック」の他にも、ご好評いただいたテーマがたくさんありました。以下の内容が、その一例です。
・人間の右脳と左脳の仕組みを利用したコンテンツづくり
・タイトルの質を高め、バリエーションを豊富にするフレームワーク
・紙媒体で活躍するライターがWebライティングで苦労する理由
・メールやWebで使うべきではない"あの接続詞"
・表記ルールのガイドラインを設ける3つのメリット
当社では、デジタルマーケティング部門のマーケッターおよびコンテンツ担当者向けのセミナーを随時開催しております。
「約80人のエンジニアが、1日がかりのコンテンツライティング講座に集まった」事例も、ぜひ併せてお読みください。