マーケティングオートメーション(MA)導入企業の増加に伴って、見込み客向けにナーチャリングメールを配信するBtoB企業が増えてきています。
しかし、「期待した成果が上がらない」「成果の上がるメールの作り方がわからない」と悩んでいる担当者も多いようです。
そこで、今回のコラムでは、ナーチャリングメールで成果を上げるために必要不可欠な、「ペルソナ設計」についてご紹介します。
「ペルソナ」(persona)とは、ラテン語で「人格」のこと。
ナーチャリングメールにおける「ペルソナ設計」とは、対象者の人物像を具体的に定義することを言います。
(「何を」具体的に定義するかについては、後述します。)
では、なぜナーチャリングメールで成果を上げるためには、「ペルソナ設計」が必要不可欠なのでしょうか?
まず、ナーチャリングメールにおける「成果」の定義から考えてみましょう。
(1)ナーチャリングメールにおける「成果」とは何か?
そもそも、ナーチャリングメールにおける「成果」とは、何を指しているのでしょうか?
ナーチャリングメールの目的は、見込み客の購買意欲の育成であり、育成の結果、「態度変容」を起こさせることです。
ですから、ナーチャリングメールにおける「成果」とは、「見込み客に態度変容を起こさせること」です。
(※「態度変容」とは、「購買ステージが変わるような行動を起こすこと」)
例を挙げて、説明しましょう。
Aという企業では、「認知ステージ」にいる見込み客が「サービスに関連したeBookをダウンロード」したときに、「態度変容した」と判断します。
(※何をもって「態度変容」と判断するかは、各企業のマーケティング戦略により異なり、カスタマージャーニーマップで定義します。)
もし、Aという企業で、「認知ステージ」にいる見込み客が、ナーチャリングメールを読んだことにより、「サービスに関連したeBookをダウンロード」したら、そのナーチャリングメールは、「成果を上げた」ということになります。
では、どのようなナーチャリングメールなら、成果を上げることができるのでしょうか?
2)態度変容を起こさせるナーチャリングメールの特徴
成果を上げるナーチャリングメール、すなわち「態度変容」を起こさせるナーチャリングメールには、以下のような特徴があります。
特徴➀ 件名を読んで、対象者に「関心がある内容が書いてありそうだ」「自分の課題解決に役立ちそうだ」と感じてもらい、開封してもらうことができる
特徴② 本文を読んで、対象者に「関心がある内容が書いてある」「自分の課題解決に役立つ」と感じてもらうことができる
特徴③ メールで紹介しているWebページについても、「関心がある内容が書いてありそうだ」「自分の課題解決に役立ちそうだ」と感じてもらい、リンクをクリックしてもらうことができる
特徴④ メールから誘導したWebページで紹介されていたeBookについて、「関心がある内容が書いてありそうだ」「自分の課題解決に役立ちそうだ」と感じてもらい、ダウンロードしてもらうことができる/メールから誘導したWebページで紹介されていたセミナーについて、「関心がある内容が話されそうだ」「自分の課題解決に役立ちそうだ」と感じてもらい、申し込んでもらうことができる 等
(※④については、メールだけの力でできることではなく、Webページとの協力が必要です。)
つまり、「態度変容」を起こさせるナーチャリングメールとは、「態度変容」させたい相手の「関心」や「課題」に最適化されたメールだということです。
「態度変容」させたい相手の「関心」や「課題」に最適化するためには、対象者の「関心」や「課題」を明確にすることが必要ですよね?
対象者の「関心」や「課題」を明確にするプロセスのことを、「ペルソナ設計」と呼びます。
ですから、ナーチャリングメールで成果を上げるためには、「ペルソナ設計」が必要不可欠なのです。
では、対象者の「関心」や「課題」を明確にするためには、具体的に何を定義すればいいのでしょうか?
BtoBメールの場合は、以下の5項目を書き出してみてください。
1)どのようなリストに、ナーチャリングメールを配信するか
配信リストを明確することにより、どんなことに関心・課題があるのかをある程度把握することができるからです。
例)○月○日に開催された情報セキュリティカンファレンスの参加者リストに配信する場合、「情報セキュリティについての関心が高い」ということがわかる。
2)配信リストの中で、特に「態度変容」を起こさせたい対象者の企業規模
企業規模により、関心・課題が異なる場合があるからです。
例)「働き方改革関連法」案施行により、大手企業では残業時間の上限制限適用開始時期が2019年4月~ 中小企業では2020年4月~と定められた。
つまり、残業時間の上限制限については、大手企業の方が関心が高い。
3)配信リストの中で、特に「態度変容」を起こさせたい対象者の所属部署
所属部署により、関心・課題が異なる場合があるからです。
例)経費精算システムを導入する場合
営業部門:自分がいかに簡単に・かつ誤りなく経費精算することができるか?に関心を持つ
経理部門:どのような集計ができるのか?どのような管理帳票が出力できるのか?に関心を持つ 等
4)配信リストの中で、特に「態度変容」を起こさせたい対象者の役職
役職により、関心・課題が異なる場合があるからです。
例)経費精算システムを導入する場合
経理部の一般職:自分の業務がいかに効率化できるかに関心を持つ
経理部の管理職:自分が管理している部署の業務がいかに効率化できるか・ひいてはどのくらいコスト削減できるのかに関心を持つ 等
5)配信リストの中で、特に「態度変容」を起こさせたい対象者の購買ステージ
購買ステージにより、関心・課題が異なる場合があるからです。
例)経費精算システムを導入する場合
興味関心ステージの人:どのような機能があるのかに関心を持つ
比較検討ステージの人:競合サービスと比較した場合の強み・弱みに関心を持つ 等
ナーチャリングメールを書き始める前に、上記5項目を定義することによって、より対象者に「ささる」メールを作成することができるはずです。
ナーチャリングメールで成果を上げるために必要不可欠な、「ペルソナ設計」についてご紹介しました。
ペルソナを明確にすることによって、ナーチャリングメールの成果が上がりやすくなります。
ナーチャリングメールにおける成果とは、「見込み客に態度変容を起こさせること」ですが、何をもって「態度変容」と評価するかは、各企業のマーケティング戦略によって異なります。
ですから、リードナーチャリングで成果を上げるためには、マーケティング戦略全体を理解することも重要です。
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