今や、BtoBマーケティングにおいて顧客の約8割は、営業担当と会う前に各社のサービスサイトで商品の情報を集め、購入候補を絞り込んでいるというデータがあります(※)。自社サイトに多くの見込み客を集め、商談へとつなげるにはどうしたらよいのか――今回は、あるBtoB企業の事例をもとに、多くの企業がぶつかるコンテンツマーケティングの「課題」と「解決策」を
1:コンテンツ
2:LP(ランディングページ)
という2つの視点から探ります
※参考:「BtoB製品購入プロセスにおけるWebマーケティングの重要性」(2016年7月 (株)グリーゼ調べ)
企業向けに、通信機器の開発・販売を行っているA社は、「Webからの問い合わせと資料請求を増やしたい」という課題を持っていました。この課題を解決すべくコンテンツマーケティングに着手。まずはその第一段階としてコンテンツSEOに取り組み、多数のコラムを制作してきました。ところが、月間検索数を精査したうえで検索数の多いキーワードを盛り込んだにもかかわらず、どのコラムもランディングページ(LP)への誘導がほとんどできず、問い合せや資料請求の増加に貢献しませんでした。SEOのルールにのっとって制作されたこれらのコンテンツが力を発揮できなかった原因は何だったのでしょうか。
A社はすでに30本以上のコラムを制作し、サイトに掲載していました。ところが、コラムの中身をひとつずつ調べてみると、以下のような課題がありました。
① 顧客の課題やニーズに応える内容のコラムが少ない
② アピールしたい製品や機能にフォーカスしたコラムが少ない
③ 読み物としての品質が低く、ブランディング価値を下げている
これらが要因となって、サイト訪問者を問い合わせやサービス資料の請求といった次の行動に結びつけられていないのではないか、と仮説を立てました。
こうした課題を解決するために、グリーゼからは以下の提案をしました。
① 「集客したいユーザーが抱えているであろう課題や悩みにマッチしているか」という視点でコンテンツを作る
② アピールしたい製品や機能に関するコラムだけに絞る。他のサービスに関するコラムは制作対象から外す
③ 文章としての質は当然のことながら、読み物としての質を上げるため、関係者にインタビュー等を実施するなどして、オリジナル性と有益性のあるコンテンツを制作する
より多くの検索者をサイトに誘導したいのであれば、検索数の多いキーワードを選ぶことが必須です。しかし、ただアクセス数を増やすだけでなく、そのあとの問い合わせや資料請求にまでつなげたい場合、単純に検索数が多いキーワードを入れることが必ずしも奏功するわけではありません。キーワードは、顧客のニーズにマッチする言葉を選ぶことがポイント。検索者がどんな課題感をもっているのか、そのキーワードで検索する人はどのような情報を欲しているのかなど、検索者の立場に立ってキーワードを選ぶことが重要です。
また、
・まだ製品も販売している会社も知らない、認知段階のお客様なのか?
・製品についての知識があり比較検討段階のお客様なのか
など、お客様の"ステージ(状況)"を意識してキーワードを選ぶことも重要なポイントです。
コラムの見直し作業の中で、Webサイト自体にも原因があることが判明しました。それはサービスのLPランディングページ(LP)のつくりにありました。
A社では、主力製品の説明を行い、問い合わせや資料請求をしてもらうことをLPの目的(コンバージョン)としていました。しかしLPの内容を見直したところ、目的を達成するには不十分であることが分かりました。具体的には以下のような問題点が散見されました。
① 機能の解説が主で、導入メリットのようなお客様の求めている情報がきちんと提供できていない
② 「資料請求」や「お問い合わせ」等、お客様にアクションしてもらうポイントがない
LPの改善策として、グリーゼからは以下のような提案をしました。
① LPにどのような情報を掲載したらよいかを精査し、読み手の購買意識を高めるような構成に改善する
② 「資料請求」「お問い合わせ」、アンケートに基づいた調査レポートの「ダウンロード用フォーム」を目立つように設置し、アクションを起こしてもらいやすい工夫をする
電話や訪問などによる直接営業では、営業担当がサービスの良さや導入のメリットなどを顧客に説明して購買意欲を高め、最終的に購入へと導きます。コンテンツマーケティングでその役割を果たすのがLPです。そのため、LPでは商品の機能やスペックだけでなく、サービスによってユーザーにもたらされるメリットを提示したり、購入をためらわせる不安材料を解消させたりしておくことが重要です。また、それらを読んでサービスへの興味関心が高まったところで、問い合わせや資料請求などの「行動」を即座に起こせる構成になっていることも重要です。
A社のコンテンツマーケティングにおける課題とその解決策を、コンテンツ制作とLP制作の視点から見てきました。多くの見込み客を集め、商談へとつなぐのに効果的なコンテンツおよびLPを制作するポイントは以下の通りです。
① 集客したいユーザーが抱えているであろう課題やニーズに応えるコンテンツを制作する
② コンバージョンにつながるキーワードに基づいてコンテンツを制作する
③ LPは顧客の購買意欲を高めるとともに、問い合わせなどの「行動」を起こしやすい構成にする
A社の場合は、これらの取り組みを行った結果、問合せの件数が約2倍になるという成果がありました。コンテンツマーケティングがうまく回りはじめると、お問い合わせや資料請求などの件数が多くなってくるので、社内体制の見直しも視野に入れておくと安心です。担当者が一人しかおらず、問い合わせの処理に対応しきれないということでは本末転倒。タイミングをみてマーケティングオートメーションなどの仕組みを導入するのもよいでしょう。
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