Googleが専門性・独自性を重視していることを受けて、取材を元にしたオリジナルコンテンツを制作したい企業が増えています。
コンテンツ制作の現場において、ライターに求められる重要なスキルはもちろん「文章を書く力」。ただ、取材を元にしたコンテンツを作る場合、加えて「情報を論理的に整理する力」という、より高度なスキルが求められます。
情報を論理的に整理するためには、論理的に考える力=ロジカルシンキングが欠かせません。質の高いコンテンツ制作に必要なこのロジカルシンキング力は、どのようにしたら身につけられるのでしょうか。
グリーゼでは今回、社内ライターのスキル向上を図るため、会長の江島をファシリテーターに「ロジカルシンキング社内勉強会」を行いました。
本コラムでは、2022年11月4日に行われた社内勉強会の内容をお伝えします。
コンテンツ制作の目的は「人を動かす」ことです。
そのためには、「文章の良し悪し」だけではなく、「何を、どういう順番で語るか」も重要になってきます。
情報を漏れなく入手し、伝えるべき要素を取捨選択し、分かりやすい順番で伝える。そのためには、INPUTとOUTPUT両面においてロジカルに考えることが求められます。
取材を元にしたコンテンツ制作を行う場合、ライターは入手した情報をリアルタイムで整理しなければなりません。
なぜなら、情報が足りなかったり、整理できなかったりしたからといって、後から取材をやり直すことはできないからです。
また、事前に構成を考えて取材に臨んでも、実際に話を聞いてみたら違うという場面は多々あります。そのため、情報を頭の中で組み替え、臨機応変に質問を変えたり、構成の方向を軌道修正したりという、柔軟かつ論理的な思考力が求められます。
INPUTしながら頭の中で情報を整理するスキルが身につくと、情報の重複や抜け漏れに即座に気がつけるようになります。限られた時間の中で必要な情報を収集できるようになり、ライターとしての取材力がどんどん磨かれます。
また「ウェビナーの録画を元に執筆する」「資料を元に執筆する」などの場合、INPUTする情報がロジカルに整理されていないことも多々ありますが、OUTPUTするときには、情報をロジカルに整理し直す必要があります。
なぜなら、整理されていない文章は頭に入りにくく、受け手に内容を理解してもらえない可能性があるためです。
コンテンツの目的を達成するために、情報をどう分類してどんな順序で伝えればいいのか。ロジカルシンキングを駆使して情報を整理しつつ、的確にOUTPUTするスキルが求められます。
ロジカルシンキング力を身につける方法は多々ありますが、特に大切な概念は「粒度」と「MECE」です。
粒度が揃っているかいないか、MECEになっているかいないかに気がつけるか、が、ロジカルシンキングのファーストステップになります。
粒度とは、情報の粒の大きさのことです。
情報を粒度で分け、木の枝のように分岐させて階層構造にしたものを「ロジックツリー」といいます。
一例として、子ども用の夏物の衣類ケースを階層構造化するとどうなるか、を見てみましょう。
この例だと分類している対象は「物」なので、比較的簡単かもしれません。
ただ、コンテンツ内で扱われるのは物ではなく言葉であり、言葉の粒度というのは判断するのが意外に難しいものです。
粒度という概念を知って、情報の粒の大きさが同じか違うかに気がつける感覚を持てるよう、訓練をしていくことが必要になります。
今回の社内勉強会では、実践力を鍛えるために練習問題にも取り組み、参加者に実際にその場で考えてもらいました。
以下のバラバラな情報を、粒度を揃えて階層構造化するとどうなるか。読者の皆さんも少し考えてみてください。
一番大きい粒の情報が「動物界」だというのは、どの参加者もすぐに分かったようです。その次の「目」「科」「属」の階層化に苦戦した参加者が多かったのですが、実は大事なポイントはさらにその次の階層になります。
「ヒョウ属」の下に「ライオン」と「ヒョウ」が入り、同じ粒度に「ベンガルトラ」と「キタキツネ」は分類できない、ということに皆さん気がつかれたでしょうか。
「ベンガルトラ」はトラの仲間、「キタキツネ」はキツネの仲間ですので、「ライオン」や「ヒョウ」と同じ粒度ではない、同じ階層には分類できないということに気がつければ大正解です。勉強会では、「『ベンガルトラ』ではピンと来なかったものの『キタキツネ』で気がつきました」という参加者の声もありました。
このように、多くの情報を整理しようとしたときに、瞬時に「粒度が違うのではないか」「この情報とこの情報が一緒だと気持ちが悪い」と気がつけるようになることがとても大切です。
ロジカルシンキングに欠かせないもう一つの重要な考え方に、MECEがあります。
MECEはミーシーとかミッシーと呼ばれ、日本語ではよく「漏れなく、重なり無く」と訳されます。
先ほど紹介した子ども用の夏物の衣類ケースの例に戻って見てみましょう。
ケースが三つありますが、次男のTシャツがあちこちにあり(重なり合う)、長男と次男のジーンズはあるのに三男のジーンズがない(漏れている)ことに気がつかれたでしょうか。これは「MECEではない」状態です。
このMECEについても、勉強会内では参加者に練習問題に取り組んでもらいました。
次の四つの選択肢のなかで、どこがMECEになっていないかお分かりになりますでしょうか。
この問題でMECEになっていないのは2カ所です。
2と3は「3回」の部分が重なっていて、また3と4も重なり合っています。加えて解答欄には、全く運動をしない0回という選択肢が漏れています。
解答を伝えたあとで参加者に感想を聞いてみたところ、「『なんとなく変だ』」と分かっていても、どこがMECEになっていないのかを具体的に指摘するのは難しい」という声が出ました。
MECEも粒度と同じく意外と気がつきにくいので、情報を即座に整理するためには、やはり訓練をする必要があります。
では、「わかっているけどできない」ロジカルシンキングを、ライターはどうやって身につければいいのでしょうか?
本勉強会では、この後、日々の訓練法についても、INPUTとOUTPUTの両面から学びました。
コンテンツ制作の成果に大きく影響するロジカルシンキング。「思考法」ですから、習得するには時間がかかりますが、量稽古を続けることで、INPUT/OUTPUTの質が着実に向上します。
グリーゼのライターの仕事はコンテンツ制作だけではなく、企画や設計、アンケート設問の作成、そしてもちろん取材と多岐にわたります。今回の勉強会でロジカルシンキングの必要性をより実感した参加者からは、「ぜひ実践編の勉強会を行ってほしい」という意欲あふれたコメントが聞かれました。
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