こんにちは。株式会社グリーゼ江島です。
2019年8月、私は某所で、「キーワード検索からブランド検索へ ~10年後生き残るために、いま何をすべきなのか?~」というタイトルの講演を行いました。
内容は、現在多くの企業が取り組んでいるSEO(Search Engine Optimization 検索エンジン最適化)の手法を、真っ向から否定するものです。そしてそれは、少し前まで弊社が行ってきたご支援の在り方を否定するものでもあります。
それでも私は、「現在多くの企業が取り組んでいるSEOのやり方を、いつまでも続けるべきではない」と考えています。
ここでいう「現在多くの企業が取り組んでいるSEOのやり方」とは、
様々なツールを使って、検索数の多いキーワードを洗い出し
↓
それぞれのキーワードについて、そのキーワードをコンテンツのタグや本文に埋め込むことによって、検索サイトでの上位表示を狙う
というやり方を指しています。
なぜ私は、「現在多くの企業が取り組んでいるSEOのやり方を、いつまでも続けるべきではない」と考えているのか?
そして、現在多くの企業が取り組んでいるSEOの手法に頼らずに、ビジネスを継続発展させていくためには、一体どうすればいいのか?
私が考えていることをお伝えします。
「検索エンジン上位表示対策」は、コンビニの棚を奪い合うのと同じだと私は考えています。
なぜなら、限られたスペースの奪い合いだからです。
ところが・・・検索サイトの上位に表示させるための対策法は、Webサイトや書籍などを通じて、多くの人に知られています。
多くの人が知っているということは、競合も同じ対策をしている可能性が高いということです。
しかも、競合対策のための便利で安価なツールがどんどん登場しています。
例えば、「tami-co」というツールをご存知ですか?
このツールを使えば、SEO業者が何十万円かで請けていたようなSEOに関するリサーチがあっという間にできてしまいます。
例えば、
「競合より上に上がるには、あと何記事作ればいいのか」
「既存のコンテンツに、あと何個キーワードを埋め込めば、競合より上に上がるのか」
「既存のコンテンツやこれから作るコンテンツを何文字くらいにすれば、競合より上に上がるのか」
などが瞬時にわかってしまうのです。
このツールを、競合も使っていたとしたらどうでしょう?
どちらかが倒れるまで、戦い続けるしかありませんよね。
私は、奇しくも自分の名前と同じである「tami-co」というツールを知ったとき、
「少なくとも中小零細企業は、この戦いから降りて、別の道を探すべきだ」と心底思いました。
資金を投入し続ける体力がある大企業に、かなうわけがないからです。
クラウドソーシングのサイトで、「SEO」をキーワードにして仕事検索をしてみてください。
以下のような募集案件が、何十件も表示されます。
●【初心者歓迎!】サポート万全、参考記事あり!お役立ち情報のライター募集【簡単♪】
文字単価 0.1円以下
●隙間時間を有効利用したい主婦ライター急募!記事作成のお仕事
文字単価 1円
●【厳しさゼロ】【主婦歓迎】【初心者歓迎】ブログ記事作成
文字単価 0.1円以下
多くの企業が、素人ライターに、記事を量産させています。
つまり、Googleは「高品質なコンテンツは、E-A-T(※1)がなければいけない」と明示(※2)しているにも関わらず、多くの企業がそれを無視しているということです。
※1
1:Expertise(専門性があること)
2:Authoritativeness (権威があること)
3:TrustWorthiness (信頼できること)
※2
新版ガイドライン(Search Quality Evaluating Guidelines, 英語版)
コンテンツマーケティングの本来の目的は、「価値ある情報(コンテンツ)を発信することによって、選ばれる企業になる」ことであったはずです。
しかしいまでは、コンテンツは、検索サイトの上位に表示させるためだけの道具になってしまっています。
Googleが「コンテンツ至上主義」を宣言したときには「なんて素晴らしい!」と思いましたが、現在の状況を見る限り、Googleの思いが正しく伝わっているとは思えません。
Google自身も、絶対にそのことに気づいています。
彼らは、近い将来、何らかの手を打ってくるはずです。
つまり、現在のようにGoogleがコンテンツに対して求めていることを無視しているようなやり方は、ある日突然通用しなくなる可能性がある・・・と私は考えています。
数年前のペンギンアップデート・パンダアップデートのことを思い出してください。
あのとき、それまで「効果的だ」とみんなが信じていた手法が、ある日突然通用しなくなりました。
検索サイトでの表示順位がいっきに下落した結果、倒産した企業や、倒産寸前まで追い込まれた企業もたくさんありました。
あのときと同じことが、また起こってもおかしくないと、私は考えているのです。
Googleで「家具に傷がついた」と検索してみてください。
本記事執筆時点では、以下のようなタイトルのサイトが上位に表示されました。
●家庭で出来る!アンティーク家具についてしまった傷の直し方
●100円ペンで出来る!アンティーク家具のキズの直し
●アンティーク家具の家庭で出来る修復方法
あれ???・・・と思いませんでしたか。
検索者は「アンティーク」とも入力していないし、「直し方」や「修理のしかた」とも入力していないのです。
少し前なら
●家具に傷がついた!そのときあなたは・・・
のような記事が、上位に掲載されていたはずです。
なぜなら、「タイトルタグ」の「前の方」に「検索キーワードと一致する言葉が置かれている」からです。
ところが、最近ではGoogleが「キーワード一致」ではなく、AIで検索者の検索意図を読み取って、検索者が一番必要としていると思われるコンテンツを返すようになってきているのです。
つまり、Googleは、「家具に傷がついた」と検索した人が、「アンティーク家具に傷がついてしまったので、修理したいと考えているはずだ」と判断したわけです。
このようにGoogleのロジックが変わっていくことによって、現在の「キーワード至上主義」のようなSEOのやり方は意味をなさなくなっていくと私は考えています。
では、現在多くの企業が取り組んでいるSEOの手法が通用しなくなるかもしれないいま、私たちはどうすればいいのでしょうか?
私が考える「未来のSEOの在り方」については、次回お話しします。お楽しみに。
▼「キーワード検索からブランド検索へ ~10年後生き残るために、いま何をすべきなのか?~(後編)」はこちら!