こんにちは。株式会社グリーゼ江島です。
※前編 なぜ「現在多くの企業が取り組んでいるSEOのやり方を、いつまでも続けるべきではない」のか?は、こちらから。
後編では、「現在多くの企業が取り組んでいるSEOの手法が通用しなくなるかもしれないいま、私たちはどうすればいいのか」について、私が考えていることをお話します。
2000年前後に、地方のセミナーに行くと、よくこんな質問をいただいていました。
「先生、あのですね、うちの会社の名前で検索すると、うちの会社のホームページがなぜか一番上に出てくるんですよ!SEOなんてなーーーんにもしていないんですけどねえ(得意げに)」
他の受講生の方は、この質問を聞いて、ニヤニヤしていました。
「アナタの会社の名前で検索したら、アナタの会社のホームページが一番上に出てくるのは、アタリマエでしょ」
と思っていたからです。
でも、いまこそ、この「アタリマエ」のことが重要なのではないかと、私は考えています。
なぜなら、アナタの会社の名前(あるいは、アナタの会社固有の商品・サービスの名前)では、コンビニの棚の奪い合いは起こらないからです。
例えば、弊社の場合、「コンテンツマーケティングのグリーゼ」とうたっているわりには、「コンテンツマーケティング」での検索順位は「圏外」です(涙)。
「株式会社グリーゼ」だと、1位です。
SEOチェキ!より http://seocheki.net/
数年前までは「コンテンツマーケティング」(一般名称)でも、もう少し上の方にいたのですが、大手さんが本気を出してきたら、弊社のように体力のない会社はひとたまりもありません。
いまでは、イノーバさん、フェレットさん、電通さんなどが、上位に表示されています。
弊社はもともと、検索サイトへの依存度が大きくないので、順位が下がっても経営的なインパクトはほとんどありませんが、もし検索サイトからの集客に依存していたとしたら大変なことになるところでした。
つまり、キーワード検索(=一般名称での検索)に頼るということは、大きなリスクを内包しているということです。
でも・・・「株式会社グリーゼ」で上位を狙いに来る会社はいませんよね?
ということは、「株式会社グリーゼ」(会社名)で多くの方に検索していただくことを考えていけば、SEOで一喜一憂する必要がなくなるということです。
ですから私は、これからは「キーワード検索」(=一般名称での検索)での上位表示を狙うのではなく、「ブランド検索」(=会社名や固有の商品・サービス名での検索)されるようになることを目指していくべき時代だと考えています。
あるECサイトの経営者も、やはり「キーワード検索」(=一般名称での検索)で検索エンジン上位表示対策をするリスクに気づいて、数年前から「ブランド検索」(=会社名や固有の商品・サービス名での検索)されることを目指す方向に転換して取り組んでおられます。
具体的な事例をご紹介しましょう。
【事例】 ※名称等は、すべて実在のものとは変えてあります
メイン商材:ローストチキン
会社名:株式会社ロティサリー・ヤマダ
ECサイト名:天下一ローストチキン オンラインショップ
「ローストチキン」で、Google検索結果1位を獲得。
ECサイトオープン当時、競合はほとんどいなかった。
「ローストチキン」ブームにより、類似のECサイトが乱立。
「天下一ローストチキン オンラインショップ」に見た目だけを似せた粗悪品を販売するECサイトが、続々と現れた。
そして、激しい「検索エンジン上位表示争い」および、価格競争が勃発。
そんな中でも、ドメインの歴史が古いこと、こまめにSEO的なテクニックを駆使し続けていたことなどにより、「天下一ローストチキン オンラインショップ」は、検索エンジンの表示順位1位を保持し続けていた。
ところがある日、「ローストチキン」という「キーワード」(一般名称)で検索エンジン上位表示対策をし続けることに疑問を抱くきっかけとなる「事件」が起こる。
同業他社の、食品偽装表示問題。
もちろん「天下一ローストチキン オンラインショップ」は全く関係がなく、まっとうに正直にご商売をされていたのだが、それにも関わらず、「ローストチキン」で検索すると1位に表示されていたために、多数のメディア・一般消費者からの問い合わせ・クレームや罵倒の電話・メールが集中し、スタッフがノイローゼ状態に。
「ローストチキン」(一般名称)で検索エンジン上位表示対策をすることをやめ、既に有名店になっていた「天下一ローストチキン オンラインショップ」という名称も捨てて、ECサイトをリニューアルすることを決断。
「ロティサリー・ヤマダ」という固有の会社名で検索してくれる人を増やす・・・という方向に舵を切る。
「ロティサリー・ヤマダ」で検索してくれる「指名買い」のお客様が半数を超え、検索エンジンの上位表示争いや価格競争から抜け出し、「いい商品を丁寧に作る」ことに集中できるようになった。
方向転換後、売上・利益とも、順調に伸びている。
では、ここで質問です。
「ロティサリー・ヤマダ」さんがいまの状態になるのに、どのくらい時間がかかったと思いますか?
答えは、「10年」です。
中小零細企業が、通常業務をこなしながら、ブランド戦略を真剣に考え、ブランド戦略に基づいて会社や事業を根本的に見直し、そのブランドを一般消費者に認知してもらい、ブランド名で検索してもらうようになるまでには、それくらいの時間がかかるのです。
だからこそ、早く取り組む必要があるのです。
本記事の冒頭で、私は、現在多くの企業が取り組んでいるSEOの手法が通用しなくなるかもしれないと書きました。
しかし、それは「いますぐ」ではないと思っています。
少なくとも、あと数年は、いまのやり方でもなんとかなるのではないでしょうか。
だからこそ、いまのうちに、「10年後」を見据えた取り組みを始める必要があると考えているのです。
「ブランド検索」される企業(商品・サービス)になるために、私は以下のような手順が必要だと考えています。
これが、最も重要です。
よく"ブランドの起源は牛の焼き印だから、「他との明確な違い」という意味だ"・・・という話を聞きますが、今回ブランドを定義する目的は、検索(指名買い)をしていただくことですから、ただ「他社と違う」だけでは意味がありません。
どんな会社(商品・サービス)」で在りたいのかを、真剣に考える必要があります。
ここで、「どんな会社(商品・サービス)であれば、お客様は指名買いをしてくれるのか?」と考えるのは、得策ではありません。
ブランドの世界では、リーダーは、お客様ではなくアナタです。
アナタが「こう在るべき」という旗を掲げ、お客様がその旗を支持したり、共感したりしたときに指名してくださる・・・ブランドとはそういうものだと思います。
どんな会社(商品・サービス)」で在りたいのかが明確になったら、会社(商品・サービス)の"目に見える部分"を、その「在り方」に合わせていく必要があります。
そうしないと、お客様には伝わらないからです。
"目に見える部分"とは、ウェブサイトのデザインであったり、商品のパッケージであったり、ロゴであったり、商品名であったり、実店舗のデザインやユニフォームや接客の仕方であったり、商品そのものであったりします。
これらがすべて、経営者が目指す「在り方」にマッチするようになるまでには、何年もかかることがあります。
ブランドの世界観に支持・共感してくださるお客様と出会うために、ブログ・SNS・メディアなどで、コツコツと継続的に情報発信をしていくことが必要です。
STEP1~STEP3の詳細については、また機会があったらお話したいと思います。
ご参考になれば幸いです。
▼「キーワード検索からブランド検索へ ~10年後生き残るために、いま何をすべきなのか?~(前編)」はこちら!