インタビュー取材は、記事を執筆する際の重要な手順の一つです。
取材を成功させるためには、事前準備や心構え、当日の進め方などにおいて、さまざまなポイントがあります。
多くの取材経験のあるグリーゼが「プロだけが知るインタビューのコツ」をお伝えします。
取材を成功させるためには、事前準備と下調べを十分に行うことが非常に重要です。
◎相手の会社や商品についてはもちろん、業界の専門用語など、取材に関係することはできるだけ調べておきましょう。
◎筆記具、メモ、名刺、録音機器(電池も確認しておく)、予備のカメラなどの持ち物をチェックし、忘れ物のないようにしましょう。取材中の喉の渇きや緊張に備えて飲み物を用意しておくとよいです。ヒアリングシートや事前資料などは前もってプリントアウトしておきます。
◎当日は、ビジネスにふさわしい、清潔感のある服装で。
◎交通機関の乱れなどを想定し、早めに出発すると安心です。
下調べが不十分で、取材中に知らない言葉が出てきた場合、自分自身が委縮してしまい、取材に悪影響が出ます。
また、録音機材に不備があったり、時間に余裕がなかったりすると焦ってしまうことも。万全のコンディションを整えて現場に向かいましょう。
相手と名刺交換をしたあと、ひとまず雑談などから始め、アイスブレイクの時間を設けると場を和ませることができます。
◎前日にニュースをチェックするなどして、最新の話題を用意しておきます。相手の業界のトピックスがあると、なお良いでしょう。
◎訪問先に着いてからは、意識して周囲に目を向けましょう。受付付近に掲げられた受賞歴、商品サンプルなど、話題になりそうなものが見つかることもあります。
◎「ざっくばらんにお話しください」などの声掛けを行い、相手の緊張をほぐし、話しやすくする工夫をしましょう。初めてお会いする方への取材は、アイスブレイクの時間を長めに取ることもあります。
場の雰囲気がほぐれたら、本題に入る前に当日のテーマ、取材の目的、全体の流れと所要時間を伝えておきます。
相手の時間をいただいていることを忘れずに、時間配分に注意しながら進めましょう。
用意してきた質問をスムーズに進めていくためには、以下のようなコツがあります。
◎ヒアリングシートは軽く見る程度にし、相手ときちんと目線を合わせてコミュニケーションを取ることを心がけます。
◎パソコンの画面を見ていると目線は下に向いてしまい、相手への目線が外れてしまいます。質問の回答を打ち込むのはNGです。パソコンを立ち上げておき、相手の会社のホームページや、話題に挙がった事柄の確認をする、といった使い方は良いでしょう。
◎取材では話の流れが大切です。ヒアリングシートの質問の順番にはこだわらず、相手の方にテンポよく答えていただくことを目指しましょう。
取材中に忘れてはならないのが、最終的にできあがる原稿の目的です。
頭の中で原稿をイメージし、執筆に必要な情報が得られているかをチェックしながら会話を進めましょう。
相手の言いたいことをしっかりキャッチする、頭の中で原稿を組み立てる、この2つを同時進行できれば、良い記事づくりのための取材ができます。
相手の回答には、多くの情報が含まれています。メモの取り方のコツをつかみ、貴重な回答を原稿づくりに生かすようにしましょう。
◎メモは会話すべてを記録する必要はありません。キーワードを拾って書き留める程度でOKです。
◎メモを取ることだけに集中しすぎて、相手と目線が合わなくなったり、相槌を打てなくなったりしないように注意しましょう。
◎取材中に聞きたいことが追加で思い浮かんだら、それも忘れないようにメモしておき、後で質問するといいでしょう。
取材中は、回答を聞き漏らさないように必死になりがちです。しかし、回答は取材後にも音源で確認できますし、後日、追加の質問をすることもできます。
取材は「質問と記録」ではなく、「相手とのコミュニケーション」です。一方通行にならないよう、心がこもった言葉のキャッチボールをしたいものです。
相手の回答が予想していたイメージと大きく異なる、うまく回答が引き出せていないと感じた場合、さりげなく軌道修正することが必要です。
◎取材対象者が複数いる場合は、他の人に振り、違う視点からの回答を引き出します。
◎相手の回答が把握できなかった場合は、自分の言葉に言い換えて相手に伝えてみましょう。こちらの理解が正しくない場合、相手がもう一度言い直してくれるなど、確認が取れてお互いの理解につながります。
◎想定とは違う答えが返ってきたとしても、相手の意見や回答を否定することはNGです。相手が委縮したり、気分を害したりしないように言葉を選び、気遣いを忘れないようにしましょう。
◎「取材が脇道にそれている」と感じるときでも、丁寧なレスポンスや、聞く姿勢を心がけ、相手に気持ち良く話してもらうことが大切です。
ヒアリングシートは「取材のナビゲーション」のようなもの。取材中に生まれた会話の中で自然に深掘りし、こちらの興味のあることを聞いてみましょう。偶発的な流れによって、より深みのある記事を作ることができます。
予想外の状況でも落ち着いて、本来の取材目的を見失わずに対応することが肝心です。
取材に対して、「自信がない」「緊張してしまう」と感じることもあるかもしれません。不安をできるだけ取り除き、より良い取材を実現するために、以下のようなことを心がけるとよいでしょう。
◎下調べをしっかりして相手に関する予備知識を持ち、よりリアルな関心を持って取材に臨みましょう。
◎取材中は笑顔を心がけましょう。笑顔は相手へ好印象を与えるだけでなく、自分の気持ちを落ち着かせることにもつながります。
◎重要な場面では身を乗り出して聞いたり、身振り手振りを大きくしたりするのもよいでしょう。こちらの熱意が伝わります。
◎質問や会話を通して「相手のこと、相手の業界に興味がある」「その道のプロからお話を聞きたい」というこちらの姿勢が相手に伝わるようにしましょう。相手に「ぜひ説明したい」と思っていただけると理想的です。
取材において重要なのは何と言っても下調べです。十分な準備をしたら、当日は「会話を楽しむこと」と「原稿を頭の中で組み立てながら質問すること」、この両立を心がけて取材をしましょう。
どうしても緊張してしまう場合は、「あがり症なもので......」と事前に相手に伝えておくのも一案です。
取材後は、相手にお礼のメールを送り、今後のスケジュールも伝えておきます。原稿のチェックをお願いする日や締め切りなどの確認ができ、お互いの安心材料になります。
取材の記憶が新しいうちに、原稿への準備を早めにしておきましょう。
音源データをPCに保存する、テキストに起こす、自分の書いたメモを整理しておく、などの作業をやっておくと、情報の見落としを防ぐことができます。
取材成功の秘訣は、取材当日だけではなく、事前準備の段階にもあります。相手のことをしっかり調べて準備し、自分の力を最大限に発揮できる状況を作りましょう。
取材側が取材対象者に十分な関心を寄せて真摯な気持ちで取材に臨めば、それが相手にも伝わり「ぜひ話したい、教えてあげたい」と思ってもらえるものです。
本題からは少々それる質問や会話も大切にしましょう。雑談から思わぬ良い情報が得られることもあります。
取材は、一期一会です。相手との時間や出会いから学ぶ気持ちを忘れずに、ぜひ、取材する側、される側、双方にとっての良い取材を実現していきましょう。
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