こんにちは。グリーゼの 江島民子 です。
3月~4月は、「コンテンツマーケティング担当者育成パック」のセミナーラッシュでした。 https://gliese.co.jp/service/education.html
セミナー中に、いくつかの例題に取り組んでいただくのですが、 「当日は混雑が予想されますので、お車でのご来場はお控えください」 という例文に対して、下記のような質問をいただきました。
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Q: 「お車」のように、名詞に「お」を付けるのは正しいですか?
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質問してくださった方は、「名詞に『お』を付けるのは誤り」だと、どこかで習ったそうです。
確かに お車 お名刺 おビール おかばん などは、なんとなく「過剰な敬語」のようにも感じますよね。
名詞に「お」を付けることは、正しいのでしょうか?
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A: 名詞に「お」を付けることが正しいかどうかは、状況により異なります
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「状況により異なります」とはどういう意味なのか、もう少し詳しく説明しましょう。
■1:文脈による違い 以下の三つの文をご覧ください。
A) 先生からいただいたお手紙
B) 先生にお送りしたお手紙
C) お手紙の書き方講座
Aの「お手紙」は、「先生からいただいた」という意味の、「尊敬語としての、お」。
Bの「お手紙」は、「先生にお送りする」という意味の、「謙譲語としての、お」。
Cの「お手紙」は、「手紙」を丁寧に言っている、「美化語としての、お」。
いずれも、正しい使い方です。
同様に
「当日は混雑が予想されますので、お車でのご来場はお控えください」
の「お車」も、「相手の車」という「尊敬語としての、お」なので、OKです。
それに対して、 「私のお車は、どこに駐車すればいいですか?」
は、自分の持ち物に対して「尊敬語としての、お」を使っているので、NGです。
■2:日本語か外来語かによる違い 等
では、「尊敬語としての、お」として、
「おビールをお注ぎします」
もOKかというと、実はNGなのです。
これは、「外来語には、お を付けない」というルールがあるためです。
「おビール」「おコーヒー」などは、NGということですね。
ただし、「おタバコ」「おズボン」のように、もはや外来語なのか日本語なのかわからなくなっている名詞については、OKとされています。
こういったルールは、他にもあります。
例えば、
「お携帯電話をお預かりします」
とは、言わないですよね?
これは、「複合語には、お を付けない」というルールがあるためです。
「携帯電話」は、「携帯」+「電話」の複合語なので、「お」を付けないのです。
■3:書き手・話し手による違い 等
美化語の「お」に関しては、書き手・話し手が誰なのか?等によっても、印象が異なります。
例:
女性アナウンサー「お花がいっぱい咲いていてきれいですね~」
男性アナウンサー「お花がいっぱい咲いていてきれいですね~」
上記は、女性アナウンサーなら「OK」、男性アナウンサーだと「ちょっと違和感があるからNG」と考える人もいます。
また、「"お肉"は、おいしそうだからOK」だけど、「"肉"だと、ナントナクおいしくなさそうだからNG」と感じる人もいます。
このように、「美化語としての、お」に関しては、「これが絶対に正しい」という使い方は、決まっていないのが現状です。
もっと詳しく知りたい方は、ぜひ下記の参考資料を読んでみてください。
【参考資料】
▼敬語おもしろ相談室(文化庁) http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/keigo/index.html
▼放送における美化語の意識調査(NHK) https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20180101_8.html
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編集後記
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友人が、本を出版しました。
▼幸せな着ぐるみ工場 あたたかいキャラクターを生み続ける女子力の現場 (日本経済新聞出版社)
https://amzn.to/2XA2uHG
著者の「かのう ひろみ」さんとは、2010年に実施した「宮崎 経営革新塾」がご縁で、仲良くなりました。
受講中に、彼女からこんなご相談をいただいたことを、いまでもよく覚えています。
「弊社は品質には絶対的な自信を持っていて、アクターさん(着ぐるみの中の人)からも、
"かわいい" "着やすい" "動きやすい"と高い評価をいただいています。
でも、着ぐるみは、地方自治体が地域振興という名目で作ることが多いので、ほとんどの場合、仕事が地元の広告代理店に流れてしまうんです。
どうすれば、宮崎の着ぐるみ会社に依頼してもらえるでしょうか?」
あなたなら、なんと答えますか?
私は、
「う~ん、わざわざ宮崎に依頼するには、何か理由が必要だけど・・・
う~ん、普通は地元にお金を落としたいから、地域の広告代理店に発注しちゃうよねえ」
と、一緒に悩んでしまって、参考になるような回答をすることができませんでした。
ところが、その後「くまモン」の経済効果が話題になったことにより、着ぐるみは「他の自治体が作っているから、うちも"取りあえず"作ってみました」というような漠然とした存在ではなく、「もしかしたら、地域に対して大きな経済効果をもたらすかもしれない」存在として認知されるようになります。
そして、「大きな経済効果」を求めるのであれば、"かわいく" "着やすく""動きやすい"着ぐるみにする必要がある・・・と気づいた各自治体が、こぞって彼女の会社に着ぐるみを依頼するようになるのです。
私は、上記のような市場の変化をリアルタイムで見ていて、
「着ぐるみ"なんて"、地方自治体が"取りあえず"地元の企業に作らせておけばいい程度のものだ」と思い込んでいた自分を、とても恥ずかしく思いました。
そして、たとえ、今は高品質のものが求めてられていないとしても、いずれ市場が成熟してくれば、必ず高品質のものが求められるようになる・・・ということも感じました。
これは、どんな業界にも言えることではないでしょうか。
私たちの専門分野であるコンテンツマーケティングの市場においても、数年前は「"取りあえず"安く大量に書いてくれればいいから」という企業が圧倒的に多かったのですが、少しずつ「高くてもいいから、本当にいいものを書いてくれる会社に依頼したい」というふうに変わってきています。
市場の期待に応え続けることができるよう、常に1歩先2歩先を見て精進していこう・・・と、友人の本を読みながら改めて思いました。
次回は、福田多美子がお届けします。
*この記事は2019年4月25日現在の情報を元にしています。
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